人気ブログランキング | 話題のタグを見る


カフェ好きが高じて、カフェを作ってしまいました。- 札幌・東札幌駅から徒歩7分 (お店の営業時間などは"インフォメーション"をご覧ください。)プティcafeはギャラリーとしてもお使いになれます。


by p-cafe-ken

カテゴリ

全体
CONTENTS
インフォメーション
ギャラリーとして♪使えます
プティCafe研究所
MENU
MAP
本のこと
NEWS
EVENT・EXHIBITION
日々のこと
プティcafe掲示板(お問い合わせ)
本など 売ります

以前の記事

2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
more...

フォロー中のブログ

WATASHI-BRAND

LINK

最新のトラックバック

ライフログ

タグ

その他のジャンル

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧

今日の秘密のスイーツは、本の紹介

今日の秘密のスイーツは、本の紹介です。

「秘密のスイーツ」
林 真理子著(ポプラ社)


内容はこんな感じ。


理沙はちょっと太めの、小学校6年の女の子。親の離婚やいじめを
経験し、東京から、ある市に引っ越して、再び不登校に。
孤独な気持ちや母親への反発を抱えている。
あるとき、(ここからはSF)携帯電話を通じ、66年前の
この市に住む女の子、雪子と通信できることに…。
戦時下に生きる雪子とのやりとりから、ひそかにタイムトンネルを通して
「お菓子のプレゼント」を送ることになった。
母親に叱られながら、むさぼり食べていた、お菓子が
雪子にとっては、感涙にむせび、友人らと分け合いながら食べる、
大切な宝物。それを知り、理沙は張り切って、お菓子を調達し、
ついには、自分でクッキーを焼いてまで贈る。
その奮闘の中で、やりがいと、かけがえのない友人を得て、
不登校から脱し、輝いていく理沙。
しかし、雪子に、日本の敗戦の真実を伝えたことが、
軍国少女の雪子のプライドをひどく傷つけ…絶交となってしまう。

…でも、ハッピーエンドよ!さすが、児童文学。

思わず笑ってしまうのが、理沙が雪子に頼んで
(クッキー焼きを手伝ってくれる友人に見せるため)
 書いてもらった手紙。
「(略)このあひだは、みなさんが焼いてくださったクッキー、本当に
おいしうございました。どれほど私たちの力になっていることでせう。」

その手紙は、古風な文体のため、当然、友人からはいぶかしげに、見られる。
今日の秘密のスイーツは、本の紹介_d0171563_18583034.jpg


ピンク色のばら模様のレターセット、というのが泣ける。
それは、大切な、とっておきのレターセットであるらしい。
今日の秘密のスイーツは、本の紹介_d0171563_18501052.jpg

とっておきのレターセット!というモノ自体が、もう、前世紀の遺物となって
いるかも。そんな、繊細な(その頃の)少女らしい、小道具の使い方が
かわいらしくって私は好き。その、薔薇に青い雨が降り注ぐ、愛らしく清楚な絵柄を
想像し、胸がキュンとする。文机の奥に大切に忍ばせて、ときどき引き出しから
ひっぱり出して、触ったりながめたりしていたのだろうな。
今日の秘密のスイーツは、本の紹介_d0171563_2044186.jpg



3月に、児童文学評論集の個展を開いて
いただいてから、児童文学とはなんぞや…
としばし考えていた。(少しだけ)

児童文学の定義は、よくわからない部分もあるけれど、
林さんの中では珍しい、児童文学。
けど、文学少女だっただけあって、少しも無理がなく、
なんというか、バランス感覚抜群。
昔と今を対比するなら、どちらのこともリアルに書けていないと、
伝わらない。

思いがけず贈られたお菓子に感激し、
昔の少女らしく、丁寧な言葉で、でも率直に喜びを伝える
雪子に対し、理沙なりに雪子を取り巻く環境を理解し
がぜんと、使命感に燃え、
「とにかく私が届けてあげなくっちゃ!」みたいに
励む姿がそれこそリアルに、伝わってくる。
このリアルさこそ、林真理子さんの良さ。

涙もろい私は、雪子のセリフを読み返し、
しばし目をうるませていたりしました。

確か、エッセイか何かで、ご本人が、こんなことを書いていた。
たとえば、若いヒトのことを小説に書こうとして、
そのために、わざわざ彼らに取材に行こう、と
思うようになったなら、小説なんて書かない、…というようなことを。
つまり、取材なしで、書いているんだ。
もちろんモノによっては、(とくに、時代モノや、専門の職業)
取材ありきでしょうけど。

ところで、林真理子さんのお嬢様は、青山学院に行っているらしい?
昔、アグネス論争(若い人は知らないと思うが)があったので、
エッセイには、お子様のことをネタには決してしない真理子さん。
それでも、書いてほしいなあ、と思う。
だって、子育てはネタの宝庫でしょう。
こんなにリアルな、思春期の娘の気持ちを書けるのも
母親ならでは、と思うから。

 でも無理かな~律儀なかたゆえ。
by p-cafe-ken | 2011-09-09 20:07 | 本のこと